ポスト「ポスト冷戦」

トラディショナルな政治家分類のマトリックス

横軸に「保守」「リベラル」
縦軸に「親米」「反米」
と分類するのがある。

これで
・親米で保守
・親米でリベラル
・反米で保守
・反米でリベラル

の4種類のカテゴリに政治家や思想家を分類できる。
それぞれの傾向性の強さもあらわせる。
いまでもよく見かける。
最近のこの手の表では大抵中央に小沢一郎が座ってる。
分類できないなら載せなきゃいいのに。

血液型占いと同じで
当然のようにこの分類法には限界があって、
同じカテゴリに分類できる政治家同士でも仲悪かったりする。
逆もまたしかり
同じ党だから同じカテゴリというもんでもない。

したがって、このマトリックスはもう限界がきてるなぁ
と思うのだが、

そもそも「親米」「反米」という対立軸に意味がなくなってきてるんだろう。
僕はこの軸の変わりに
「多極化」「一極化」という軸を使うべきだと思う。

一極化は
「親米」「新中」のように今後もある大国が国際政治をリードし続けるという考え方。
多極化は
全方位外交、とまでは言わないものの。
多国間のコンセンサスと協調を重んじる、
「一大国」が世界をリードする時代は終わったという考え方。

民主党政権の「アジア重視」路線は
「反米」というよりもこの多極化の流れに沿うものなんじゃないかな
と思ってる。
もしかしたら鳩山首相はかつての一極化指向を引きずったままでいて
中国が次代の一極になるという頭でいる可能性はあるけど。

昔の日本の政治空間では
「対米一辺倒を見直す」
と言えばすなわち反米であった。

ご存知の通り55年体制は冷戦用の体制だ。
やや時間はかかったけど万年野党の社会党もこの仕組みに組み込まれた。

冷戦後のアメリカのウィニングラン的な時代においてもこの仕組みは温存された。
まあそうだろうなアメリカの代わりになりそうな極が伸びてこなかったんだから。
アメリカが唯一の極ズラしていられる時代だった。
日本も基本的に世界をアメリカを中心とした一極でみていて問題は無かった。

貿易摩擦等を通して
「日本がアメリカから独立した極になるべきではないか」
なんて思想も手を変え品を変え登場したけど
基本的には多極化する世界を前提としないという点で一極化思想とそう変わりない。

経済においても、ごく最近まで
まず、なにが問題かと言えばウォール街であった。


ただ
ここへきてアメリカで多極化へのシフトがおこった。
オバマの当選とリーマンショックそして中国の消費市場化がそれだ。
多極化する世界を肯定しようという流れだ。
気がつけば日本の輸出も中国向けと米国向けがどっこいどころか前者の方が多い。

さて
この冷戦後の「ポスト冷戦」時代も温存された一極化思想から多極化の時代へと変わる
ポスト「ポスト冷戦」時代はどんな体制がいいんすかね。

問題は
ほとんどの政治家も官僚も、一極化指向時代しか経験していないという事だ。
すなわち
多国間コンセンサスと協調
そのための思想も方法論もあまり持ち合わせていないため
いわゆる「移行期混乱」が起こるんじゃないかと心配している。
まあ仕方ないんだろうな。
それよりも問題なのは
一極化指向を捨てきれず、中国がアメリカを上回る市場になったので
中国をネクスアメリカとしてしかみれなくなってしまう事態だ。

一極化指向者の言う
アメリカから離れるな」「いや中国に近づくな」「日本は独立するのだ」
どれも古いふるーいおっさんの発想だと俺は思う。


一日も早いおっさんからの政権交代を望む